名港LPG基地 地震対策プロジェクト

名港LPG基地とは

名古屋市港区、伊勢湾沿岸に面する名港LPG基地は、40,000㎡超の敷地に約5000tを越える貯蔵能力をもったわが国で最大級の規模を誇る二次基地です。最大500kgにもなる各種容器への充填、1日100台を超えるLPGタンクローリーが利用する出荷設備を備え、年間約20万tのLPGを出荷します。その量は、東邦液化ガスの年間取扱量の約40%となり、名実ともに東邦液化ガスの要となる施設です。

名港LPG基地

今後30年間で、
発生する確率70%程度
と言われる(※1)南海トラフ地震

我々の責務は、24時間365日、いつでも安心してガスをお使いいただく事。 「いつでも」にはもちろん災害時も含まれます。 現在、名港LPG基地では、2011年に発生した東日本大震災を教訓に、今後想定される災害に備え、「予防」「復旧」の取組みを進めています。

※1 内閣府 防災情報のページ 南海トラフ地震防災対策基本計画および東海地震、東南海・南海地震対策の現状[PDF]より

Case 01耐震ローリーバース工事

耐震化と供給安定性向上を目的としてローリーバース(※1)を改修しています。1期工事を2016年3月に完了し、現在は2期工事が進行中です。(※2)
その詳細な計画を製造部の2人が立案し、関係各所の支援を得ながら進めています。

※1 ローリーにLPGを充填する供給設備

※2 2019年4月1日現在

第1期工事にて新設されたローリーバース
  • 製造部 設備管理グループ
    機械担当 柴田 憲寿
  • 製造部 設備管理グループ
    電気担当 正村 加津雄

名港LPG基地耐震化プロジェクトの計画立案・遂行者に選ばれた、機械・電気のスペシャリスト。
配管、基礎工事などの機械・設備は柴田が、計装機器、モーターなどの電気は正村が、得意領域でカバーしあう2名で、日々様々な課題に取り組んでいる。

Q計画の概要を教えてください。

震災を教訓に、地震対策を見直しました

柴田
大規模地震発生時においても製造設備の健全性を維持し事業が継続できるように、まずは地震対策基本設計の長期計画を策定しました。
正村
我々製造部は2013年度から準備を始め、2014年度に第1期工事(ローリー出荷設備2基増設、防消火設備更新)に着手して2017年度に完成しました。
現在は、2019年度に完了する第2期工事(既設ローリー出荷設備解体、4基新設)によりローリー出荷体制が盤石になります。
柴田
我々のチームで、詳細計画を立て、コストの承認を取り、施工会社を決めています。着工後はその安全管理と品質管理、完成すれば発注工事の機能・性能が計画通りであるかを試運転・調整を行って確認し計画を完遂させる、という流れです。
正村
計画を遂行するにあたって統括者となり、協力し合って進めています。
  • 新たに設置する配管の経路を確認
  • 図面を確認しつつ綿密な計画を作成
  • 新設備の性能確認も重要な業務

Q計画はどのように進められたのですか?

まずはみんなを巻き込むところから

柴田
初動は私が担当しました。まずは工事の流れを決め、図面を作成しようとしたのですが、船の受け入れ担当、ローリーの出荷担当、それぞれの立場によって意見が異なるので、統合した方針を出すことが非常に大変でした。結局、調整には1年近くかかりました。しかし、実際に使用する運用者の声は重要です。この時期は、とにかく皆さんを巻き込んで計画が遂行できるよう、会議に参加してもらい、地道に意見を調整していきました。
「安定供給」というゴールは一緒なので、そこを軸にすることでブレずに進めることが出来たと思います。
正村
そういった苦労の末、調整や計画が進んでいくと、「現状のバースを半分だけ解体する」という難度の高い課題に直面しました。
既存の設備の中には1973年から利用しているものもあります。普段、維持する範囲では問題ないのですが、図面に記載されていない事柄もあり、「設備の半分だけ使用したい」となると、1つ1つの配線の意味を把握し、再設計する必要があります。設備は常に動いているので、テストで切ってみるなどができないため、意味の把握が大変でした。
会議への参加を促す
柴田
計画進行中は多くの課題がでてきますので、逐次協力、相談しながら解決し、進めていきました。 完成後の設備がより使いやすくなるように、運用者から「ここのフィールド機器のランプ、どっち向きが良い?位置はどう?」など意見をもらいつつ作業をし、気持ちよく使える堅牢な設備設置を目指しました。
会議への参加を促す
現場で意見を聞くことが大切

Q気を遣った点、大変な点などあれば教えてください

止められないローリーバース

柴田
工事中に意識したのは「絶対に供給を止められない」という責任です。災害時はもちろん、解体や敷設の工事中も、止めることはできません。
現在進行中の2期工事も、解体や基礎工事を行う横を1日100台を超えるLPGタンクローリーが行き交っています。供給業務を止めないために、業務実態を理解し、安全管理を含めた計画を行えるよう、非常に気をつけています。
正村
2019年10月には旧バースから新バースの切り替えが控えており、現在、旧配線から新配線への移行に対し、見えていないリスクはないか、慎重に調査を続けています。ここまで大規模な切り替えは初めてなので、今がまさに佳境ですね。
半解体の旧バース。LPGタンクローリーへ供給しつつ工事を実施

AfterTalk

Qローリーバース以外のプロジェクトでは何が印象深かったですか?

柴田
防消火設備の改修です。2500tの貯水槽を新設し防消火設備を更新したのですが、切り替えが大変でした。 LPガスを出荷するためには防消火設備が健全であること、と関係法令に定められているので、防消火設備を活かしつつ、出荷をするために苦労しました。計画は15ヵ月の長期に及び、週末に徐々に切り替えをしました。
正村
設備は「高圧ガス保安法」「消防法」「石油コンビナート等災害防止法」3つの法令に準拠した装置を設置しなければならないため、計画も大変でした。
最終の試運転で支障なく一斉散水ができたときには、すごくホッとしました。
  • 手前が新貯水槽。3つの設備に水を送る。
    奥は旧設備
  • 石油コンビナート等災害防止法用の設備
  • 機能の多さに比例した計装類

Q今後の目標など教えてください。

柴田
私は名港LPG基地の図面の精度を高めていきたいと思っています。
今回のプロジェクトを通して、かなり苦労をしましたので、今後の計画の円滑な実施のためにも、徐々に行っていきたいと考えています。
正村
名港LPG基地の作業が終了したら、愛知、三重、岐阜の3県に点在する10ヶ所の事業所の耐震化に着手したいと思っています。プロジェクトの大小はあっても、安定供給というゴールは同じです。
耐震対策を実施して、気持ちよく後進に道を譲りたいと思っています。
約50万件のお客さまに中長期にわたって安定してLPガスを提供できるよう、「予防保全」の心構えで対策に臨みたいです。

Q学生にひとことお願いします。

柴田
自分で考えたことが形になる、というこの仕事は、楽しいです。
学生から社会人になった時は、全くの手探りですが、ポジティブに望んでいけば自然と夢や楽しみが見つかると思います。
壁はかならず乗り越えられるので、僕らはそのお手伝いをしたいと思っています。一緒に楽しみましょう。
正村
私も作るのが楽しい、という意見に同意です。私の場合は、ゴールを決めてから「ここが弱いな」「あちらの方が良いな」とシミュレ―ションと計画実施を併行させ、高い完成度でゴールできたときに強く達成感を感じています。
社会にでても学ぶチャンスは多く、一から勉強しなおしている感覚に陥ることもあります。自分で考えて様々なことにチャレンジし、成長してもらいたいと思っています。